♥切なくてアブナイ△関係♥-短編-
運命の夏の日。-梓 side-
「私、奏夜君と付き合うことにしたの」
ちゃんと上手く言えているかな。
私は唇が少し震えながらも、言葉を紡いだ。
啓ちゃんは目をまんまるにして驚いていた。
そうだよね。
私も啓ちゃん以外の人と付き合うなんて、
ちょっと考えられなかった。
いつも大事にしてくれていた啓ちゃん。
私を甘やかしてくれてた啓ちゃん。
王子様みたいにかっこいい啓ちゃん。
私にとってお兄ちゃんみたいで、
ずっと憧れで、大好きで……。
全てだった。
「ちょっと恥ずかしいけど、啓ちゃんにも報告しとこうかと思って!」
我ながら残酷なことを言うなと思いながらも、笑った。
だって笑わないと泣きそうだから。
今にも啓ちゃんに飛びつきそうになってしまうから。
でもこれが私のけじめ。
最後までわがまま言ってごめんなさい……。