♥切なくてアブナイ△関係♥-短編-
実は私はね。
啓ちゃんが私の全てになってしまって怖くなったの。
もう、ずっと前から私は自分が異常だと思いつつも、ガラスで出来た温室にいる気分だった。
でも奏夜君に出会って、私は自分の異常に気づいてしまった。
もし、啓ちゃんが別の女の人を好きになったら……?
啓ちゃんが私に飽きちゃったら……?
啓ちゃんが私の前からいなくなったら……?
自分で何をしでかすか分からない。絶対にそんな啓ちゃんは消えて欲しい。
その女の人はこの世からいなくなってほしい。
そんなことを思う自分が壊れているのだと、やっとそこで理解出来た。
自分が自分でなくなる前に私は自立したい。
手を差し伸べてくれたのも、やはり奏夜君だった。
啓ちゃん。
これ以上のめり込まないように私はね、背中を押してくれる人よりも手を差し伸べてくれる人を選んだよ。
それが間違っているのか間違っていないのかなんて分からない。
多分――考えたくないんだと思う。
私は、啓ちゃんに嫌われるのだけは嫌だったから。
反面……奏夜君にも嫌われたくないって思う自分もいて、どうすればいいか分からなくて1人で混乱した。
でも、もう早く決着を付けたかったの。
ごめんね、こんな私で。
「……じゃあ、ね!」
手を振った瞬間、ラムネを飲んだような爽快さと甘さが舌に残るような未練を感じた。
ばいばい、啓ちゃん。
……世界一大好きで、世界一大嫌いな男(ひと)。