♥切なくてアブナイ△関係♥-短編-
そうして自己嫌悪に陥っていると、
彼が少し寂しそうな笑顔で囁く。
「ねぇ、君が欲しい」と。
今まで聞いたことのない掠れたような、色っぽい声に私は驚いた。
ドクンと、胸が鳴る。
どうしよう。
どうしよう。
どうしよう。
彼は本気だ。
頭の中が混乱した。
この言葉の意味が分からないほど、私は純粋でもないし子供でもない。
密かに私は啓ちゃんが初めての相手だと決めていた。
啓ちゃんの笑顔が脳裏によぎる。
――こんなの、分かっていたことじゃない。
今更、私の身体なんか穢れきっているのに、
彼を拒むことなんて、出来ない。……許されない。
だって、彼の恋人になると決めたのは私。
彼を、奏夜君の孤独から助け出したいと思ったのは私だもん。
啓ちゃんは一人だって生きていける。
私は何も言わずにっこりと頷いた。