好きな人が出来ました。
間違いメール
『好きな人ができた。』
深夜に送られてきたそんな電子文字。
それは、中学卒業と同時に連絡を取らなくなった初恋の人からのメール。
どう考えても私に送られたものでは無いと分かる文章で…
たった8文字のその言葉が、私の胸を締め付けた。
あの頃から、8年経った今でも、私は彼が好きなのだろうか?
『どんな人?』
迷いに迷った挙句、返した返事はその5文字。
私に送ったなんて思っていないだろうあいつへの、意表返しのつもりで打った文章に満足し携帯を閉じた。
返事は無いだろうと、寝なおした私はその夜、懐かしい夢を見た。
中学の頃、彼を好きだった時の自分の夢。
引きつる頬に違和感を感じて目を覚ませば、もう朝で。
寝ながら泣いていた私が目にしたのは、メールの受信を知らせるランプの点滅…
『かわいい子。』
そんな在り来りな文書が表示されたメール画面に目を奪われたまま、母が起こしにくるまで、30分も固まっていた。