好きな人が出来ました。



「蒼、合コンしよう!」
「パス」
「いたっ」

授業終了とほぼ同時に、頭の悪い発言をした友達に、ノートで制裁を加えた。
それでもへらへらと笑いながら、私を合コンに誘ってくるこいつは、ほんと懲りない奴だ。

「松本、合コンよりやるべき事あるでしょ」
「んー何?」
「…来週から試験」
「ぐぁっ…急に頭痛がッ」

わざとらしく頭を押さえる彼を、もう一度ノートで叩く。

「頭痛するなら、合コン行かずに寝てなさい」
「もーなんでそんな合コン嫌いかなー蒼は」
「合コンなんて場で出会っても好きになれると思えないから」
「ううー頑固者」
「ほっとけ」


軽口を叩きながら教室を出れば、むあっとした空気が体を包む。
教室内は空調が効いているから良いが、さすがに廊下はそうもいかない。

7月も半ばな今、大学3年という微妙な場所にいる私たちは、将来のことを真剣に考える様になってきた。
いつまでも学生という肩書に甘えていられない。

自立という二文字が目の前に迫りつつあった。
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