インナー·チャイルド
あたたかいもの
小さい頃から、
「家族」
という言葉が嫌いだった。
しかし、自分の中で
「そんなことを思うべきでない」
という思いは強かった。
そんな風に、必死に打ち消そうとしたはずの思いなのに、今の私はその時の気持ちをはっきりと言葉にできる。
それはこうだ。
『家族があたたかいだなんて嘘っぱちだ。
どこの家族も、父親の言うことは絶対で、
それに対して怒ったり泣いたりということは許されない。
その理不尽さを見て見ぬふりして成り立つ家族なんて、どこかむなしい。
けれど、これは当たり前なんだ。
私だけじゃない。
あたたかい家族なんて…
この世には存在しない』
***
この物語は、私『あい』の一番古い記憶から始まる。おばあちゃん家のベランダ。陽射し。畳のにおい。優しい声。
その記憶を呼び戻した時だけ、あたたかいものが体に流れるんだ。
「家族」
という言葉が嫌いだった。
しかし、自分の中で
「そんなことを思うべきでない」
という思いは強かった。
そんな風に、必死に打ち消そうとしたはずの思いなのに、今の私はその時の気持ちをはっきりと言葉にできる。
それはこうだ。
『家族があたたかいだなんて嘘っぱちだ。
どこの家族も、父親の言うことは絶対で、
それに対して怒ったり泣いたりということは許されない。
その理不尽さを見て見ぬふりして成り立つ家族なんて、どこかむなしい。
けれど、これは当たり前なんだ。
私だけじゃない。
あたたかい家族なんて…
この世には存在しない』
***
この物語は、私『あい』の一番古い記憶から始まる。おばあちゃん家のベランダ。陽射し。畳のにおい。優しい声。
その記憶を呼び戻した時だけ、あたたかいものが体に流れるんだ。