キミの香り[短編]
…ねえ、何でや?
ウソやろ…?
何で…何で…?
「うわああぁ……!!!」
何で茉矢だったん?
何で他の人じゃダメだったん?
その後は、自分でも何をしたのか、何を話したのか覚えてない。
気付けば、俺は一人ロビーにあるソファーに座っていた。
いきなりバイブがなり、俺は通話ボタンを押した。
「……もしもし?」
『あ、お前今どこにおんの!?
めっちゃ探してっけど……』
相手は、祥ちゃんだった。
声を聞いた途端―――胸がギュッとなって、どうしようもなくて…
「…っ祥、ちゃん…」
『…お前…何かあった?』
俺の態度がおかしい事に気付いたのか、祥ちゃんの声色が変わった。
「……った」
『は?』
「…茉矢な、…おらんくなった」
『どういう…事なん?』