キミの香り[短編]


…ねえ、何でや?
ウソやろ…?


何で…何で…?




「うわああぁ……!!!」




何で茉矢だったん?
何で他の人じゃダメだったん?





その後は、自分でも何をしたのか、何を話したのか覚えてない。

気付けば、俺は一人ロビーにあるソファーに座っていた。



いきなりバイブがなり、俺は通話ボタンを押した。




「……もしもし?」


『あ、お前今どこにおんの!?

めっちゃ探してっけど……』




相手は、祥ちゃんだった。
声を聞いた途端―――胸がギュッとなって、どうしようもなくて…




「…っ祥、ちゃん…」


『…お前…何かあった?』




俺の態度がおかしい事に気付いたのか、祥ちゃんの声色が変わった。




「……った」


『は?』


「…茉矢な、…おらんくなった」


『どういう…事なん?』


< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop