キミの香り[短編]
「祥ちゃーん!おはよ」
小さな喫茶店に入り、先に来てコーヒーを飲んでいた相手に声をかけた。
「おう、何なん?いきなり呼び出して」
俺は、平野瑠誠[ヒラノ リュウセイ]
怪訝そうに顔を上げたのは、高野祥[タカノ ショウ]
俺の親友!!(のはず…)
「実は…折り入って祥ちゃんに頼みたい事があって」
「何?その頼みって…」
「それなんだけど…
茉矢のプレゼントを一緒に選んで欲しいんだ」
田代茉矢[タシロ マヤ]は俺の彼女。
それを聞いて、祥ちゃんは驚いた顔をした。
「いきなり何?どしたん?
お前、いつもは『お前には関係ない』『ほっとけ』言っとるのに」
「それが、茉矢に聞いてみたん。
そしたら『瑠誠が隣におるだけでいい』って言われて~」
ガタンッ…
「…自慢したいだけなら帰るで?」
祥ちゃんはそう言って、席を立った。