キミの香り[短編]
今にも喫茶店から出ていってしまいそうで、俺は手を伸ばして、必死に祥ちゃんのシャツの袖を引っ張った。
「…何やねん」
「い、いやいや!違う、違うって!!!
だから、何が欲しいのか分からんから、何がいいのか祥ちゃんに考えてもらいたくてっ!」
そのまま必死に「な?」と頼む俺。
そんな俺をみて、祥ちゃんはしばらく俺を見ていたけど…
「しゃーないな…」
呆れたようにそうつぶやいて、また椅子に座った。
さっすが俺の親友!!
俺は、めちゃくちゃセンスが悪い。
だからこんな時、センスのいい祥ちゃんはほんと頼りになる。
こうして俺達の、茉矢へのプレゼント探しが始まった。