キミの香り[短編]


今にも喫茶店から出ていってしまいそうで、俺は手を伸ばして、必死に祥ちゃんのシャツの袖を引っ張った。




「…何やねん」


「い、いやいや!違う、違うって!!!

だから、何が欲しいのか分からんから、何がいいのか祥ちゃんに考えてもらいたくてっ!」




そのまま必死に「な?」と頼む俺。

そんな俺をみて、祥ちゃんはしばらく俺を見ていたけど…




「しゃーないな…」




呆れたようにそうつぶやいて、また椅子に座った。

さっすが俺の親友!!

俺は、めちゃくちゃセンスが悪い。
だからこんな時、センスのいい祥ちゃんはほんと頼りになる。


こうして俺達の、茉矢へのプレゼント探しが始まった。


< 3 / 17 >

この作品をシェア

pagetop