キミの香り[短編]
「茉矢ちゃん、何も言ってなかったんか?」
「“何も”って…何を?」
「や、だから、何が欲しいとか」
「え、さっきも言ったやん。ないわ」
俺は茉矢の言葉を思い出し、ニヤけながら言った。
『瑠誠が隣におってくれるだけでいい』
うん、茉矢。俺もやで!
なんて心の中で思っていると。
「……お前いっぺん殴ったろか?」
後ろから聞こえた、祥ちゃんのドスのきいた声。
「いや、遠慮しとく!!」
そんなこんなで、俺は祥ちゃんに怒られながら、茉矢のプレゼントを探した。
「他になんがあるっけ…
あ、じゃあ無くなった物とか使い終わった物は?」
祥ちゃんの問いに、俺は少し考え込んだ。
無くなった物とか、使い終わった物…
茉矢、何か言うてたっけ?