キミの香り[短編]
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「いつも使ってんのはこっちやけど…こっちもいいな…」
香水と決めたまではいいけど、俺は最後までどれにするか迷っていた。
こんな時、俺のセンスの悪さはほんとに困る…
挙げ句の果てに、俺は店員を呼ぶ事にした。
「えと…女の子に一番人気があるんはどれですか?」
「それでしたら、こちらになりますね」
店員はその香水を手に取り、紙に一吹きすると俺に手渡した。
…クサッ!!!
ダメだ!!
こんなもん茉矢につけてもらいたない!!
「あの…もう少しシンプルなんは…」
「じゃあこちらはどうでしょう?」
店員が渡したのは、スカイブルーの色で入れ物も香りも至ってシンプル。
茉矢が好きな、空を連想させる色。
「…コレ下さい」
俺は迷わずこの香水を選んだ。
茉矢…喜んでくれるかな。
茉矢の誕生日の、3日前だった。