キミの香り[短編]


***


「いつも使ってんのはこっちやけど…こっちもいいな…」




香水と決めたまではいいけど、俺は最後までどれにするか迷っていた。

こんな時、俺のセンスの悪さはほんとに困る…



挙げ句の果てに、俺は店員を呼ぶ事にした。




「えと…女の子に一番人気があるんはどれですか?」


「それでしたら、こちらになりますね」




店員はその香水を手に取り、紙に一吹きすると俺に手渡した。


…クサッ!!!

ダメだ!!
こんなもん茉矢につけてもらいたない!!




「あの…もう少しシンプルなんは…」


「じゃあこちらはどうでしょう?」




店員が渡したのは、スカイブルーの色で入れ物も香りも至ってシンプル。
茉矢が好きな、空を連想させる色。




「…コレ下さい」



俺は迷わずこの香水を選んだ。


茉矢…喜んでくれるかな。
茉矢の誕生日の、3日前だった。


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