キミの香り[短編]
「じゃあその日は駅に10時な?」
「うん、分かった」
プレゼントも買ってあるし、完璧!!
俺は茉矢の誕生日が、楽しみで仕方がなかった。
俺はプレゼントの香水を、そのまま車に置いていた。
いつの間にか俺の車には、香水の――茉矢の香りが、染み付いていた…
そして誕生日前夜…
俺は12時ぴったりに茉矢に『おめでとう』が言いたくて、携帯電話を片手に時間が来るのを待っていた。
俺の電話は、あと発信ボタンを押すだけの状態になっていた。
「56…57…58……」
俺はカウントをしながら、
ちょうど発信ボタンを押そうとした、その瞬間だった。
突然バイブで、俺の携帯が震えた。
画面には【田代 茉矢】の文字。