好きと嫌い


学校帰り、私は一人買い物をしていた。

調度今週は私が買い出し当番の日だったので事前にお母さんから貰っておいた買い物メモを片手に歩いている。


「んー。後はシャンプーだけか。」


我が家は女が多いからシャンプーの減りが早い。それに上の姉達はシャンプーにこだわりがあるらしくてそれぞれ別々のシャンプーを買うから少し面倒臭い。


私はドラッグストアに向かうため歩きはじめた。


「ねー、次はどこ行く?」

「あー・・・どうしようか。」


すれ違った一組のカップル。私は思わず振り返って彼氏の方を見た。

手を繋いで仲よさ気に歩いているカップル。彼氏の方は私が今日、気になって気になって仕方がなかった人、伊能君だった。


「あ・・・」


伊能君、彼女・・・いたんだ。そりゃそうか。今日梓ちゃんも言ってたもんね。伊能君は女の子が好きで彼女もとっかえひっかえだって。

だから今、伊能君に彼女がいたって全然不思議じゃない。

なのに。


「なんでこんな悲しいんだろう・・・」



< 20 / 40 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop