好きと嫌い
act2
初恋と失恋を一度に味わってしまった私、有坂えりは落ちた気分のまま学校に向かっています。
「はぁー。」
なんか、憂鬱だなぁ。未だにクラスでは梓ちゃん以外に仲良しになれた子いないし、クラスには伊能君がいるし・・・
トボトボと歩いていた私。けどその足はすぐに止まった。何故なら・・・
「有坂さん、おーはよ!」
「い、伊能君・・・」
私の目の前には昨日、私が失恋した相手、伊能高志君が立っていたから。
「ど、して?」
「うん?少し話がしたくてさ~」
「話?」
ま、まさか昨日、伊能君が彼女と一緒にいる所を見てしまった事?
「あ、もしかして昨日の・・・」
「うん、昨日さ見たでしょ?」
や、やっぱり!!
「ごめんなさいっっ!」
「は・・・?」
伊能君に何か言われる前に私は謝る事にした。すると伊能君はすごく戸惑っていた。あれ?
「なんで、有坂さんが謝るの?」
「だ、だって・・・昨日、見た事怒ってるんじゃ・・・」
「は?なんでさ。別に怒る事なんてないじゃん。」
伊能君はどうやら私を怒りにきた訳ではないようだ。なら伊能君の話ってなんだろう?