赤い狼 伍
それから、真理子ちゃんの服選びが終わり、会計し終わって。(もちろん私は一切買ってもらっていない。)
真理子ちゃんに「お肌の手入れをしに行きしょ!」とエステに連れて行かれたり、「オシャレは"先"が大事なのよ!指先を可愛くするわよ!!」とネイルサロンに連れて行かれたりと、とにかく大変だった。
ネイルとかしたら学校の先生に怒られるんだけど。って言ったら「そんなの先生に私の人生に首突っ込んでくるなって言えばいいのよ。」と、大の大人が言っていいのだろうかと思うようなアドバイスをくれた。真理子ちゃんはとにかく、パワフルだった。
そして、「イメチェンはやっぱりこれに尽きるわ!」と美容院に連れて来られた。
「え…、髪の毛、切るの?」
「当たり前じゃない。バッサリは切らなくていいからパーマかけてもらいなさい!今のストレートロングもいいけど、春ちゃんは五年前もその髪型じゃなかった?」
そういえば、そうかもしれない。
五年前のことを思い出す。
五年前は真理子ちゃんが櫛で私の髪の毛をサラサラととくのを鏡越しに見るのが好きだった。
とっても綺麗な髪ね。と言われて、凄い嬉しくて真理子ちゃんも!と言ったのを覚えてる。
思い出せば、懐かしい。
「たまには新しい自分になるのも悪くないわよ。」
「新しい自分…。」
新しい自分。
その響きがとても魅力的に聞こえた。
「じゃあ、挑戦してみようかな。」