赤い狼 伍





「はい、枝豆茹であがりましたよ。」


「みどり、真理子ちゃんもしかしてもう酔っぱらってる?」


「あれで確かビン六本目です。」


「………。」



頭を抱える。真理子ちゃんの頬が異常に紅いと思ったらやっぱりそうか。酔っぱらってるんだな。



「よし、めんつが揃ったことだし、いただきます。」


「「「いただきます!!!」」」



そして私が頭を抱えている間に勝手に始まった合掌。みどりが「稚春嬢ちゃん、今日は稚春嬢ちゃんの好きなフルーツの盛り合わせがありますよ!」なぜかウキウキしながらお皿に取ってくれていることにお礼を言うほどの余裕がない。



《藤山》の人達ってなんだかユニークよね…。


でもだからといってお酒を朝っぱらから飲もうとするのもどうかと。


"稚春が帰ってきたお祝い"の中、そんなことを考えたけれどまぁいいか、なんて。

そう思ってこのお祝いを楽しんでいた私は今日、思いもよらぬ訪問者が来ることなんて知るよしもなかった。



「稚春ぅー!お前のためにワイン買ってきたぞ!!飲め飲め!」


「未成年に酒をすすめんな。」


「あらいいじゃなーい、ワインとか春ちゃんらしいじゃない?」


「………。(……そういう問題じゃない。)」




< 25 / 34 >

この作品をシェア

pagetop