赤い狼 伍
若干引きながらまだ続いているみどりの話に相槌をうつ。
でもそこで気付いた。
私、酸素が足りないんだった。
「それでですね、その時に俺がこう言ったんです。組長、今が「酸素っ!!」」
渾身の力で叫んだ。そりゃもう凄い力んで。
首を容赦なく締め付けてくるみどりの腕を自慢の腕力で払いのけて叫んだ。
おかけでなんとか吸えるようになった酸素。
肺に真新しい空気が送られるのを感じて息を静かにつく。
ふう、これでなんとか酸欠で死なずに済んだ。
落ち着いてきた呼吸を保ちながらこめかみを押さえる。すると、こめかみの一部分が浮き出ているのが分かった。
酸素不足でこめかみ辺りの血管が浮き出たんだろう。どんだけ危ない状態だったんだ。
と、
「春ちゃああぁああん!!」
また何か煩いのが来た。