私とテニスとあいつらと
こうなってしまったからには、ここで方向を変えて歩くのは明らかに不自然だ。しかし、校門を通れば必ず幸田に見つかってしまう。

・・・・・ううん、大丈夫。美月、お前ならできる!

自分にそう言い聞かせた私は、その場で回れ右をして校舎の裏に行こうと足を進めた。

「あ、あの子今引き返したぜ?なんか怪しくねぇ?」
「え、まじっスか?!あやしいっスね」
「声かけてみるか?」

・・・・見つかってしまった。

私を見つけたのは女の子のような可愛らしい顔をした男子生徒B。そしてその一言でその他の男子生徒達の視線が一気に背中に突き刺さる。嫌な汗が前全身から拭き出しているのがわかる。私がその場で固まっていると、とどめの一言が。

「おい幸田~。お前が探してるのってあの子?」

あぁあぁぁあ・・・!そこの可愛い坊ちゃん、なんてことを!余計な事すんな!!私がその男子生徒Bを睨みつけてやろうと後ろを向いた瞬間、こちらを見ていた幸田とバッチリ目が合ってしまいました。

「見つけたぜクソ女ぁぁぁ!!!!!」

幸田はそう叫ぶと私の方へ走って来た。人間は追われると逃げたくなるのが本能。
私は本能のまま逃げ出していた。

「ぎゃああぁあぁ!!!こっち来んな!」

幸田の後ろにいた男子生徒やキャーキャー騒いでいた女子達は皆こっちをガン見。私が涙目になりながら両足の痛さに耐えて逃げていると、連が「美月!お前何やってんだよ!こっち来い!」と叫んでいた。

「待てっつってんだろーが!止まれ!このクソ女!!」
「うるさい!待てと言われて待つわけねーだろ!お前こそ止まれ!!」

私は幸田に言い返しながら連のいる方向へ猛ダッシュ。そしてすかさず連の後ろに隠れた。私の後ろを追っかけてきた幸田は、その他の男子生徒達に押えられた。肩を上下に揺らしゼイゼイ言ってると、ニヤニヤしながら男子生徒Cが私に声をかけてきた。

「あんた、幸田部長相手にすごい事するんスね」
「は、はぁ?あ、あんた、誰?」
「俺は丸川翼。あんたは?」
「わ、私は、井上美月」

私がゼイゼイ言いながら答えていると、男子生徒Dがペットボトルのスポーツドリンクを私にくれた。
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