私とテニスとあいつらと

「美月ぃぃぃぃ！！！！！」
「ら、蘭？！」

たくさんの人たちの視線を浴びていながら、蘭はそれを気にすることもなくこちらに向かって走ってくる。

「なあ、あれって松谷じゃねー？」
「あっ！ホントだー。松谷さんだ」
「美月ぃ！！！」
「おぅえ！」

ものすごい形相をしながらこっちへ走ってきて、何をするかと思いながら蘭を見ていると、なんとそのままのスピードで、私めがけて突っ込んできた。
そしてその衝撃で、私はドスッ！っと鈍い音と腰に抱きついている蘭と共に３メートルくらいゴロゴロと転がった。

「ら、蘭・・・全身強打しましたが私・・・・」
「美月、大丈夫？！あいつらに何もされてない？特に幸田ァ！！」

何かされるも何も、今されましたよあなたに。

「あんたら！私の可愛い美月に何してんのよ！！締め上げるぞゴルァ！！」

その時の蘭の顔は口に出すのも恐ろしい・・・

そして蘭は、周りを気にすることなく喋り続ける。

「あんた達・・・特に幸田！あんたといつかはこうなる事を予想してたわ」
「そんなことはどうでもいい。とりあえず、お前の後ろにいるその女をよこせ」
「だけどこんなに早くあんたと戦うとは思わなかった・・・」

蘭と幸田の話がまったくかみ合ってない。原因は、まったく幸田の話を聞く気がないであろう目の前の美少女のせいなんだけど・・・

そして、幸田に何かを言おうと蘭が口を開いた瞬間、チャイムが鳴った。

「あ、チャイム鳴っちゃった・・・」
「ハンッ！運が良かったわね、幸田！」
「お前がな」

幸田はそう言うと「行くぞお前ら！」と周りにいた男子生徒９名を連れて校舎へ向かい歩いていった。
そして、それに続けて私や蘭、それに他の生徒達も校舎へ向かって歩いた。






「はー・・・朝からこんなに疲れることってあるんだね・・」

そう言いながら私は自分の席でうつ伏せになり、桑本裕樹という少年にもらったスポーツドリンクの残りを飲んでいた。

「くっそチャイムの野朗、私と幸田の戦いの邪魔しやがって・・・」
「蘭さーん。性格変わってますよ、周りが怯えてますよ」

蘭は幸田との決着？がつかなくて、今にも机を真っ二つに叩き割りそうな勢いでイライラしていた。