私とテニスとあいつらと
私は急いで箒を片付け、横においてあった鞄に手を伸ばす。

「ごめん、ホントごめんね。今日はもう帰らせて」

私はそう言うと、友人の言葉も聞かずに特別教室を出た。

ごめんね。ワガママなのはわかってる・・・けど、やっぱり一番大切なのは我が身だよね!

「おい井上」



・・・・あぁ神様。これは、私がずるい発想をした罰なのでしょうか?

「げ・・・」

なんと私の目の前には、今朝見かけた桑本が立っていた。

「俺は幸田にお前のこと連れて来るように言われてんだよ」

私の行動は全て幸田にお見通しらしいですよ。
さようなら。私の想像していた幸せな学校生活。

「行くぞ」

私は肩をガクリと落として、桑本の後を重い足取りでついて行った。






「着いたぞ」

桑本にそう言われて顔をあげると、部室とは思えないほど豪華な建物が目の前に建っていた。

「ちょっとここで待ってろ。着替えてくる」

そう言うと桑本は部室へ入っていった。



あー、しんどい。
もう帰りたい。
・・・・もう帰るかな。帰っちゃえ。

「おい井上」

私がこっそり帰ろうとすると、もう着替え終わったのか、ドアノブに手をかけて桑本が私を見ていた。

「幸田が入って来いってよ」
「おす・・・」

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