私とテニスとあいつらと



「しょ、職員室はどこ・・?」

あの無駄に広い校区内を全力で走り、なんとか校舎の中まで入ってきた。
けれど肝心の職員室が見当たらない。

「あーもう・・・どっかに用務員の人とかいないの?」

私は近くに誰か人がいないか探して歩いた。そして少し歩いたところで誰かの声が聞こえた。

「あ、誰かいるのかな?まさか生徒じゃないよねー」
「・・・・・で・・・の?」
「・・あ・・・・に・・・・れ」

・・・・・・声のするほうに行って曲がり角を曲がった所で私は見てしまいました。なにをって?それは制服の上がはだけて今にも泣きそうな女の人と、同じく制服の上がはだけている男の人を。
逃げよう、そして今のは見なかった事に。そう思い、私は方向を変えて歩きだそうとした時、突然女の人が「ひどい!」と言ってこっちに走ってきたではありませんか。

「えぇえぇぇぇえ?!!ちょ、と、とりあえずどっかに隠れなきゃ!」

そして私はとっさに近くにあった掃除用具箱の陰に隠れた。


「・・・・・・ふぅ。助かった」

女の人は、私に気づかずに走っていってしまった。それを確認した私は、掃除用具箱から出て再び職員室を探そうとした時だった。

「おい、覗き見なんて趣味悪ぃぜ」
「ぎゃぁあぁぁぁ!!!!」

いきなり後ろから声をかけられ、振り向くと、そこにはさっきの制服が上半身はだけた男が立っていた。

「な、なんですか?」
「何ですかじゃねーよ。それにしても見ない顔だな。名前は?」
「あ、井上美月です。ちょっと聞きたい事があるんですが、職員室ってどこですか?」
「そんなもん知らねぇよ」
「・・・・は?」
「それよりお前、けっこういい顔してんじゃねーか」

そう言うとその男は、いきなり私の腰に手をまわして自分のほうへ引き寄せ、なんといきなりキスをしてきた。


< 2 / 51 >

この作品をシェア

pagetop