私とテニスとあいつらと
その頃、2年生の翼を抜いたレギュラー達が部室で修学旅行の計画を立てていた。

「なー、どうする?」
「俺どこでもいいな~特に行きたい場所無いし」
「俺も!幸田が修学旅行のルート決めていいよ」

話し合いをする気が無い亮と裕太と連に、苛立った幸田が怒鳴ろうとした瞬間、突然部室のドアが開きパイプ椅子が幸田の後頭部を直撃。その衝撃で幸田は自分の椅子ごとひっくり返ってしまった。
他のレギュラー達が何かと思いドアの方を振り向くと、そこには仁王立ちした蘭の姿が。

「ま、松谷ぃ?!」
「ど、どうしてお前がここにいるんだよ!」
「おいコラ幸田ぁ!何勝手に美月をあんたらの班に入れてんのよ!!」

クラスメイトである連の言葉を無視し、蘭は床に転がっている幸田に向って叫んだ。
思いのほか後頭部に食らった衝撃が強かったのか、幸田は後頭部から血をだらだら流して床に倒れている。

「いい加減起きろ!何勝手に私の美月を班に入れてんのか聞いてんでしょーが!!」

いつ怒りの矛先が自分に向けられるかわからないレギュラー達は、気の毒に思いながらも幸田を蘭から助けようとはしない。

「う・・るせぇぞ。この・・・殺人女・・・・」

このまま女に倒されるのはプライドが許さないと、幸田のプライドが本能を刺激し、意識を取り戻させた。

「はん!殺人女で結構。とにかく、あんたらの班に美月はいらないでしょ」
「・・・・何、が言いたい・・」
「美月を返してもらうわ!」

そう言いながら蘭は、ビシっと人差し指を立てて幸田を指した。

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