私とテニスとあいつらと
「ところで先生は何しに来たんスか?」
「おお、そうだった。今日の一日の日程だが、時間が10分ずつずれるからな」

用事はそれだけだったらしく、担任の先生はそう言うと部屋から出ていった。

「はぁ・・・なんかもう疲れたな」
「なー、てゆーかお菓子食おうぜ!」
「いいね!俺めっちゃ買ったんだよ!!」

私が気分を落としているにもかかわらず、空気の読めない亮はお菓子を鞄から取り出してバリバリ食べ始めてしまった。
普通こういう時は「ドンマイ」とか言うところだろうが!!

憎しみのこもった視線で亮を睨みつけてみるものの、亮は全く気づかない。

「大変だな、お前」

私の気分がまた一段と下がってしまい、がっくりと肩を落としていると、柳原が缶のスポーツドリンクを私に差し出しながら話しかけてきた。

「あ、柳原。ありがと」
「俺が相談の乗ってやってもいいぜ?」

柳原・・・・!実はあんたもいい人だったんだね。
学校でも部活でも全然話さないから私まったく知らなかったよ!


私はこの時、柳原の言葉にものすごく感動していた。



「報酬は唇でどうだ?」



前言撤回。私の感動を返してください。

それに、今ここで柳原に愚痴ったらなんとかなる話題もなんとかならなくなる。

「いや別にいい・・・・」

私が感動を無駄にされて固まっていると、裕樹が声をかけてきた。

「美月~!こっち来て一緒に菓子食おうぜ!!柳原も」


もうこの際、嫌な事はお菓子でも食べて忘れますか!!

私は自分のお菓子を持って輪の中へ入っていった。

< 48 / 51 >

この作品をシェア

pagetop