私とテニスとあいつらと
「なー、これから部屋の電気消して怪談話しねぇ?」

おいしいお菓子を食べ皆で楽しく話している時に、亮が突然ひらめいたように口を開いた。

「お、いいね!」

それにつられて連と裕太が「じゃあ電気消すか!」と言って怪談話をする準備を始めた。
私は怪談話が好きな方なのでむしろバッチ来い☆な勢いだが、ふと横を見ると裕樹が顔を青くして汗をかいていた。


・・・・・もしかして


「ねえ裕樹」
「な、なんだよ。別に、こ、怖くなんかねーぞ!」

誰もまだ何も言ってないんですが・・・

「・・・・裕樹、ホントは怖いんでしょ」
「な、ばっ・・・!」

私がそう言うと、裕樹は顔を真っ赤にして言葉を詰まらせてしまった。わっかりやすい性格。

「ちょっと待て!」

それぞれ怪談話について話して盛り上がっていると、幸田が大声を出しそれぞれの行動を中断させた。

「なんだよ急に~」

作業を途中で中断された亮たちはつまらなさそうな顔をして幸田を見る。

「お前らよく外見てみろ!」

そう言って幸田は窓を指さした。その指をたどって窓の外を見てみると、赤い夕日が沈みきっていなく、まだ明るかった。

「なんだよー。まだ全然じゃーん!」
「ちくしょー!!せっかくいい感じだったのに!」

怪談話を今すぐにもする気マンマンだった裕太と亮は、自分の布団へダイブして駄々をこねる子供のようにゴロゴロと布団の上を転がっている。

「うるせぇ!夕飯食って風呂入ってからすればいいだろーが!!」
「「あ、それもそうか」」

幸田の言葉に納得し、二人の動きがピタリと止まった時、丁度タイミングよく部屋のドアがノックされた。

「お、誰か来たぞ」
「誰だー?」
「ドア開いてますよー。どーぞー!」

私がドアの向こうの人にそう言うと、頬を染めた従業員の女の人たちがドアを開けぞろぞろと入ってきた。

「あの・・夕飯の準備が出来ましたので、大広間にお集まりください」

それだけ言うと、その従業員の人たちはきゃあきゃあ言いながら部屋を出て行った。



・・・・あんたらいったい何歳だよ。


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