私とテニスとあいつらと
「じゃあね、ばいばーい!」
「うん、またね。ばいばい!」

そう言って校門の前で皆解散。私と蘭は、たまたま家の方向が同じだったので一緒に帰ることにした。

「はぁ~、なんか一日が早かったなぁ」
「そお?」
「うん。それにしても皆いい人たちばっかでよかった!」
「ふふっ。そっか、よかったね」

蘭の笑う顔は凄くキレイで、同じ女から見ても見とれてしまうほどだった。

「なに?」
「え、な、なんでもないよ?」
「そっか、じゃあ私はここで曲がるから。じゃあ明日また」
「うん、じゃあね」

そう言って私が歩き出した時、蘭は「あ」となにかを思い出したように私を呼び止めた。

「美月!」
「へ?なに?」
「言い忘れてた事があった。あのね」
「うん?」
「さっき言ってた、幸田って男とはかかわっちゃダメよ!」
「え、なんで?」
「とにかく!かかわらない事!!わかった?!」
「は、はい・・・」

そう言うと、蘭は自分の家に帰っていった。このときの蘭の顔が怖くてまともに話を聞いていなかった私は、ただ返事をして自分の家への道を歩いていた。そして、別に幸田と言う男に興味が無かった私は、家に着くと幸田という男の存在と、さっきの蘭の話なんか忘れていた。
けど、このとき蘭の話をちゃんと聞いて覚えていれば、この先私は苦労する事無く、転校初日みたいなハッピースクールライフを過ごしていたはずなのに・・・・
今考えると、このときの自分がかなり憎いです。誰かタイムマシーンを造ってください。

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