私とテニスとあいつらと
その頃、教室では担任が出席を取っていた。

「じゃあ出席取るぞー。秋元ー、今井ー、岩本ー・・・・」

ったく・・・美月、転校2日目から遅刻して。

蘭は、まだ空席の斜め前の席に目をやった。

「じゃあ次女子。井上ー、・・・井上?井上は休みか?」

担任がそう言った瞬間、まるでマンガのようなタイミングのよさで私は教室に入っていった。

「はいはいはい井上います!ここにいます!!」

3階まで急いで上ってきた私は、肩を上下に揺らして力を使ってなんとか返事をした。








「まったく・・転校2日目から遅刻なんて笑えないわよ?」

出席を取り終わり、担任が教室を出て行った。次の授業が始まるまで、私は蘭と話していた。

「だって朝苦手なんだもん・・・・」
「目覚まし早くかければいいでしょうが」
「・・・すいません」

私が落ち込んでいると、蘭はよしよし、と頭を撫でてくれた。

「ねー、次なんだっけ?」
「西田の公民よ。あーあ、私社会とか嫌なのよねー」
「はぁ・・私も」

そう話していると、西田という先生が教室に入ってきて授業が始まった。




そして午前の授業が全て終わり昼になった。私と蘭は中庭の大きなサクラの木の下で食べることにした。

「あーあ、長かったぁ!」
「そーだねぇ・・」
「てゆーか、この学校ホントに凄いよねェ」
「そお?別に普通だと思うけど」
「蘭。君は今、一般庶民の方々の怒りを買ったよ」

私が話をしているうちに、蘭は昼を食べ終わり暇なのか、その場にごろんと寝転がりごろごろと芝生の上をローリングしている。
蘭はこの学校一の美少女なのに、キレイ好きというわけでもない。むしろ、そんなことは微塵も気にする人ではない。その証拠に、今も芝生の上をごろごろとし、サクラの花びらや芝生のゴミを制服にくっつけている。

「蘭、パンツ見えますよ」
「いーよ別に。減るもんじゃないしね」
「さいですか・・・」

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