わたしががんばっても。

晴香side*


麻琴は涙をうっすら浮かべながら行ってしまった。

フン。

「…アンタが悪いんだから。」

たいして美人でもない木下さんが、稜を奪っていくから。



稜とは塾で出会った。

わたしと稜は中2で、塾で同じクラスで隣の席だったから仲よくなった。

わたしが稜を好きになったのに時間はかからなかった。

ちょっかいをかけてきながらも、時々見せる優しい顔に胸が高鳴った。


「中村君さ、晴のこと好きなんじゃない?」

それは中学3年の卒業を間近に迎えた日。

一緒に塾に通っている親友の兼子 紗江が言ってきた。

「…そうなのかな。」

「そうだよ!他の子にあんなちょっかい出さないもん。」






< 15 / 104 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop