わたしががんばっても。
同じ中学だった子に木下 麻琴っていう子がいた。

「あっ、南じゃねーか!」

玲央がわたしに気づいた。

「おまっ、聞いてたのかよ!!」

ますます稜は顔が赤くなった。

「わーいっ、稜の弱点つかんじゃった♪」

必死に泣きそうなのをこらえて稜のもとへ駆け寄る。

「ねぇ、その子明日教えてよ。」

「はぁ!?いや…「じゃあ、言いふらすよっ♪」

「うわ…最低だな。」

呆れた顔でわたしを見る玲央。

本当…わたし最低……。


次の日。

玲央に辞書を借りに行く稜についていった。

「あれ、なんでおまえもいんだよ。」

玲央は不思議そうに聞いてきた。

「ねぇねっ、『木下』ってダレよ?」

「ちょ…おま……」

稜は顔を赤くした。

…稜をこんな表情(カオ)にするのはあの子なの?

「あぁ、アイツだぜっ♪」

なんか楽しそうに玲央が指をさす先には1人の女の子。

やっぱり木下さん……。

濃いブラウンのセミロングにフツウの顔。

…まぁ、とりえは笑顔ってくらい?

「ふーん…ふつーだね。」


「はぁ?黙れ。」


ズキンッ

冗談っぽく言ったように見えるけど、声はとてつもなく低かった。

「じゃ、帰るね。」




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