淡夢【短編集】
記念の木……


私が翼に告白するときに呼び出した木……


その木の下に、翼はいた……


私を待ってくれていた……


翼に近付くと、翼は私に言う……



「おせぇよ香澄、でも……電車で言った言葉……教えてくれたらチャラにしてもいいぜ?」



私の涙は止まるどころか溢れてくる……



「……大好き………」



どのみち、今の私ではその言葉を言うのが精一杯だ。


翼は私をそっと抱き締めた……


ちょうどそのとき、雪がパラパラと降り出した……


翼が言う……


「ちょうど一年前、お前は俺に、同じ言葉を言ってくれたな……」

うそだ……


私がその言葉を言ったはの昨日の一年前……

でも……



騙されても……



いいよね……



「あの時もちょうど初雪が降ってた……その時も思ったけど……





雪って……思ったより暖かいな」




「私も……そう思った……」



翼がいてくれたから……




【END】
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