淡夢【短編集】
僕はサナから手を外し、ベットに座り込んだ。
「まだ昼か……どうりでまだ眠いはずだ。きっと市場はにぎわってるんだろうな……」
そんなことを考えていると、サナが僕の寝間着の裾を握っていた。
よく見ると、とても小さな力で引っ張っていた。
「ん? どうしたんだい?」
「ねぇファイ、市場に行かない? たまには……その……昼間に……」
サナは自信がなさそうだ。
僕がその願いを受け入れる可能性は低いと思っているのだろう。
僕たちは真夜中しか一緒に外に出たことはなかったからなぁ……
しかし、それに気付いてしまっては、僕はその願いを叶えてやりたくなる。
「行ってあげるから、そんな顔はしないで」
サナは満面の笑みを浮かべてくれた。
「やったー! ファイとデートだぁ!」
やれやれ……
やっぱり僕は……
サナが愛しくてたまらないようだ……