淡夢【短編集】
僕は国中を走った。


もはや昼も夜も関係ない。


純白のコートが汚れてもどうでもいい。


国中の人に頭を下げた。


それがどれだけ不様な姿であろうと、僕はもう迷うことはない。


国随一のキレイ好きなんて称号は、迷わず捨てるさ。


僕は胸を張って言えるだろう。


「愛する人のため、僕は僕の全てを捧げる……それだけだ」


すでに国中に知れ渡ったサナと僕の事情を知っている人たちは快く金を貸してくれた。



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