淡夢【短編集】
鏡に映る僕の顔は、涙で台無しになってることだろう……


ねぇサナ……


キミはもう……


抱き締めてくれないのかい?


それならこのまま……

泣き続けてしまうよ……



キミは僕の太陽なのに……


もう冷たい……


意地も……


プライドも……


全てを捨ててきた……

あんまりだ……


全ての偶然は必然のもとに成り立つなんて言ったのは、一体誰だ?


不完全な恋が最も美しいなんて言ったのは、一体誰だ?


これが必然か?


これが美しいか?


あんまりだろ……


大きな期待は、大きな絶望を生むって知ってたのに……


もし……


広大な砂漠で、一輪の大輪の華を見つけたとして……


ありったけの希望を込めて、それを摘もうと手を伸ばしたときに……


それが幻だと気付いたとしたら……


どれだけの絶望を味わうだろう……


サナ……


キミは……


幻のように消えるんだね……



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