淡夢【短編集】
恋愛系の映画……


僕の隣りで君は他の客と同じように泣いていた。


映画の中で少女の風船が破れたとき、君はその音でまた声を上げて驚いた。

口を押さえて恥ずかしそうに僕を見てきたので、僕は笑顔で「大丈夫だよ」と君の気持ちを落ち着かせた。



こんな映画を見ていると……


ドラマのような恋がしたいと……



昔、君が言ったのを思い出した……



でも……



ドラマなんてどれもこれもフィクションだ……



現実じゃなかなかそんな恋はない……



そう僕が言ったのも……



覚えている……

< 5 / 57 >

この作品をシェア

pagetop