淡夢【短編集】
電車がゆっくり走りだす……



無意識に僕も君を追うために走った……



だんだん広がっていく君との距離……



ホームの端まで行って、君を乗せた電車が見えなくなるまで待った。



まるで絵に描かれた花の美しさのように……



とわに消えないと思っていた幸せは……



楽しい時間のように……



儚く消えていくようだ……



そう思って、振り返って帰ろうとしたとき……



何気なく上着のポケットに手を入れると……



一枚の紙が入っていた……



確かに君のポケットにいれたはず……



そう思って四つ折りの紙を開くと……



そこには君の文字でこう書かれていた……




『いつかまた会おう』




それは……



僕が君のポケットに忍ばせた言葉と同じ言葉だった……



涙が一粒だけこぼれて……




僕は言う……




「まるで……ドラマみたいだ」




【END】

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