ペテンの道化師


ある日、サーカステントの近くにある湖にボクは散歩に来ていた。


ショーは夜開かれるから、昼間は暇なんだ。


他の仲間は芸の練習をしているけれど、ボクに練習は必要ない。



水辺を歩いていると、一人の少女がうずくまっていた。



どうしようか。
このまま立ち去った方がいいのか?


悩んでいると、少女がふっと顔を上げた。



「…あ………」



その少女の頬には涙。

ボクが流し方を忘れた涙があった。



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