ペテンの道化師
「ママに叱られちゃったから……」
「悪いことをしたの?」
「うん……。だから謝らないと」
泣いた顔で少女は笑った。
「キルトは良い子だね。そうだ、今夜サーカスを観に来るといい。ボクが君を笑わせてあげるよ。」
「ほんと?」
「ほんとさ。お母さんと一緒においで」
ボクはキルトの頭を撫で、立ち上がった。
「待ってるよ。」
「うん!」
少女は駆けていった。
まもなく夕暮れ。
ショーが始まる。