Fake Love



「あ、じ、じゃあ緒方さん達と一緒に帰り」


「ごめんね楓ちゃん」


私の言葉を遮るように


「私達、まだ仕事の打ち合わせがあるから事務所に寄らなきゃならないのよ」


えっ?


仕事じゃ仕方ないな。


視線をさ迷わせてると吉武さんと目があった。


そうよ。


桐生さんに送ってもらうことはないわ。


吉武さんに


「あ、楓ちゃん悪い。俺も当然緒方さん達と打ち合わせ」


「……」


「こんな遅い時間に一人で帰らすなんて要に怒られるからカナに送ってもらって」


『送ってもらって』ってそんな簡単に言っていいんですか?


桐生さんはスターさんなんですよ!


「さ、楓ちゃん行こう」


「……」


「楓ちゃん」


「あ、はい」


二人でタクシー乗って変な噂立っても知らないですからね。

私の責任にしないで下さいよ。


もうこうなりゃなるようになれだわ。


「じゃあ皆さん、おやすみなさい。さようなら」


「気をつけてな」


「また会おうな」


メンバーさんが口々に声を。


『また会おうな』ってもうスターさんに会う機会なんてないけど。




< 103 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop