Fake Love
「楓ちゃん、直感ってどう思う?」
「えっ?」
急に何の話し?
「俺、自分の直感を信じてる。今までも ずっとそうだった。アイツ等と 『Esperanza』組んだのもそうだ」
「……」
「アイツ等とは…竜とは高校の時から一 緒にやってたけど後のメンバーは各々 違ったグループでやってた」
「えっ?同じ大学じゃ」
確かそう言ってたよね。
「大学は一緒だったけど活動は別。一年の学祭で徹と俊のいるバンドを聴いてア イツ等とやってみたいなって、アイツ等とならいい音が作れるって感じて…友也 の場合もそう。ライヴハウスで演奏してるのを聴いて…一緒に始めた。全てがそ の時の直感なんだよ。その勘が楓ちゃん に間違いないって訴えてるんだよ。それ に山科先輩や吉武先輩からも楓ちゃんの 話しは聞いてるからね。尚更、会ってこ の娘は違うなんてありえない。その証拠 に今日一日一緒にますます楓ちゃんに惹 かれた」
桐生さんは怖いくらいな真面目な真っ直 ぐな瞳で私を見つめている。