Fake Love
「俺が嫌い?」
「……」
「楓ちゃんの気持ちを無視して自分の感情だけ押し付けて、挙げ句の果てに唇ま で奪って」
「……」
「軽蔑する?」
「……いいえ」
「ん?」
「軽蔑は…しません」
だって本当に桐生さんのことが嫌いな ら、嫌なら…こんな風に抱き合ったりは しない。
何回も口づけを許したりしない。
私はそんな弱い女じゃないし、無理矢理 抱きしめられたり唇盗まれたら…本当に 嫌なら張り倒すなり引っ掻くなり噛みつくなりしてる。
でも…
桐生さんに抱きしめられ口づけをされ、 驚いたけど…嫌じゃなかった。
ううん。
こうして抱き寄せられてると…桐生さんの胸の鼓動を聞いてると、なんだか凄く 落ち着くと言うか安心する。
この人は私を守ってくれる、慈しんでく れると本能が囁いている。