Fake Love



「…FakeLoveなんかじゃない。楓ちゃんは俺にとってはたった一人の…時間は あげるよ。いくらでも。でもただ見つめるだけの時間じゃない」


「桐生さん」


「俺と一緒に過ごす時間」


桐生さんと一緒に過ごす時間?


「そ。ただ指を加えて待ってはいない。 楓ちゃんにアピールする。猛アタックするから」


「アピール?アタック?」


桐生さんが?


私に?


「なにを驚いてるんだよ。さっきも言ったようにこっちは必死なんだから。楓 ちゃんに俺を好きになってもらえるように…俺以外の男を見ないように…俺ね、 わりと独占欲強いの」


「えっ?」


桐生さんが悪戯っぽく


「楓ちゃんには俺だけを見てほしい」


そっと抱き寄せられ耳元で


「だから…そうなるようにガンガン迫るから」


「桐生さん、なんだか…さっきまでの桐生さんとは」


撮影の時のあの優しい桐生さんじゃないような。


「今の俺はね、『Esperanza』の、芸能人のカナじゃなく、ただ一人の…楓ちゃ んに惚れている桐生奏人って男にしかすぎない。好きな女に振り向いてもらう為 には形振り構わずいかせてもらうよ」


「……」


「覚悟しといて」


『覚悟』ってなんだか大変な人に捕まったような。




< 135 / 144 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop