Fake Love
「…FakeLoveなんかじゃない。楓ちゃんは俺にとってはたった一人の…時間は あげるよ。いくらでも。でもただ見つめるだけの時間じゃない」
「桐生さん」
「俺と一緒に過ごす時間」
桐生さんと一緒に過ごす時間?
「そ。ただ指を加えて待ってはいない。 楓ちゃんにアピールする。猛アタックするから」
「アピール?アタック?」
桐生さんが?
私に?
「なにを驚いてるんだよ。さっきも言ったようにこっちは必死なんだから。楓 ちゃんに俺を好きになってもらえるように…俺以外の男を見ないように…俺ね、 わりと独占欲強いの」
「えっ?」
桐生さんが悪戯っぽく
「楓ちゃんには俺だけを見てほしい」
そっと抱き寄せられ耳元で
「だから…そうなるようにガンガン迫るから」
「桐生さん、なんだか…さっきまでの桐生さんとは」
撮影の時のあの優しい桐生さんじゃないような。
「今の俺はね、『Esperanza』の、芸能人のカナじゃなく、ただ一人の…楓ちゃ んに惚れている桐生奏人って男にしかすぎない。好きな女に振り向いてもらう為 には形振り構わずいかせてもらうよ」
「……」
「覚悟しといて」
『覚悟』ってなんだか大変な人に捕まったような。