Fake Love
「桐生さん」
「ハハハ…」
まだ笑ってるし。
「桐生さん、笑い過ぎです!私がちゃんと『お願いします』って言ってるのに… やっぱり嘘だったんですか?」
桐生さんに背中を向けて
ーー
ー
やっぱり芸能人特有のジョーク?
「馬鹿だな」
「……」
後ろから抱きしめられ
「嘘じゃないから」
「だ、だって…笑うんだもん」
「可愛すぎるの、楓ちゃんが。普通あん なに丁寧に『お願いします』って深々と お辞儀しないでしょ。なんかやっぱり楓ちゃんらしいなって。可愛いなって」
私らしい?
可愛らしい?
「可愛らしかったら笑い転けるんですか?」
「クッ!クククク…」
ほら、抑えてるけどまだ笑ってるよ。
「俺、笑い上戸じゃないんだけど…あ~ もうダメ!ハハハ…」
「……」
桐生さんの笑い声がこの静かな空間に響き渡る。
他に車とか走ってないからいいけど。
「ご、ごめん。あのね、楓ちゃん一々可愛いすぎんの。本当に反則だよ」
だから!
「クククク…怒らないで。馬鹿にもからかってもいない。ただ…嬉しいんだよ」
「はぁ?」
また訳の分からないことを言い出したよ。