Fake Love

Act.1




ホテルに着いて


「遅かったな」


桐生さんは先に来ていて私達の到着を待っていた。


「悪い。信号で引っかかっちまって。先に食ってればいいのに」


部屋には食事の用意がされていた。


お昼御飯を済ませてから次の撮影に入るらしい。


「楓ちゃん、遠慮しなくていいからね」


吉武さんに


「相変わらず食うんだろ」


「よ、吉武さん!」


な、何を言うんですか?こんなに人がいるのに。


「要が言ってた。楓の機嫌よくしときたいなら確り食わせろって」


耳元でこっそり。


「……」


あ、あの馬鹿兄貴~


文句を言うだけでは済まさないんだから。


「楓ちゃん」


「……」


「楓ちゃん」


「は、はい!わ、わぁ~」


気づいたら吉武さんじゃなく桐生さんが立っていた。


「あ、ごめん。驚かせたみたいだな」


「い、いえ。私がボケッとしていただけですから」


「昼飯にしよう」


「は、はい」


…これも撮影されるの?


何故か桐生さんの隣に座らされた。


「いただきます」


「いただきます」


桐生さんはじめスタッフも食べ出したので私も


「いただきます」


腹は立ってもお腹は減る。


それにホテルのランチなんだから…美味しく頂きました。





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