Fake Love
「そろそろ撮影に入りますので用意お願いします」
「カナ君と山科さん衣装チェンジお願いします」
えっ?着替えるんですか?と思う暇もなくまた戸部さんと緒方さんに腕を捕まれ隣の部屋へ
先程の可愛いワンピからちょっとシックなワインレッドのドレープのたっぷりあるワンピースに着替えヘアメイクも大人っぽいものに変えられた。
「これ…私?」
鏡を覗いたら見知らぬ私がいた。
「フフフ…驚いた?」
「は、はい。まるで別人ですね」
「あら、えらく客観的な見方ね」
「そうですか?」
だってこれは戸部さんと緒方さんのマジックだもん。
此処にいるのは『山科楓』ではなくて仮初めでも『『Esperanza』のカナの恋人』なんだもんね。
このアクセサリーもドレスもピンヒールも本当の私には縁のない物。
「さ、これでOKね。じゃあ行きましょう」