Fake Love



「フフフ…何だか本当の恋人同士みたい」


へっ?


メイク直しをしてくれてる緒方さんが小声で


「あんなに機嫌のいいのなんて珍しいのよ」


「……」


不思議そうに緒方さんを見ると


「写真撮影とか苦手みたいで。笑ってって言われても笑えないのよ。だからカナ君の写真って笑顔が少ないのよね」


「そうなんですか?よく笑う人だなって思ってたんですけど」


「うん。だから珍しいのよ。ホント言うとね。このデート企画が出た時、滅茶苦茶機嫌悪かったのよ。でも吉武さんはじめ事務所のスタッフに押しきられたの。だから選ばれた女性がアウトになった時、自分だけは企画から外れるもんだと思ってたのよ。そんなの無理だと決まってんのに」


「へぇ~」


「吉武さんが友達の妹、つまり山科さん貴女ね。貴女に頼んだって知ってやっと納得したのよ」


「納得ですか?」


「そう。モデルさんでってなった時に『ヤラセ』だとバレたらどうするんだとかごねて却下したのはカナ君なんだから」


「……」


何で却下するんですか?


セミプロモデルさんならファンクラブに入ってるかも知れないじゃないですか!


事務所も吉武さんもそれで押しきればいいのに。





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