Fake Love




あ、それより


「吉武さん」


「うん?」


「あの写真のことなんですが」


「うん?」


気になってることを聞いとかないと。


「ファンクラブの冊子に載るって言ってましたよね」


「うん、そうだよ」


「それって…私の顔もはっきり載るんでしょうか?」


もし載ったらさっきのギャラリーの比じゃない、何万何十万もの女の子の冷たい視線を浴びることになるんだよ。


もしかしたら私の知り合いもファンクラブに入ってる人もいるかも知れない。


もしそうなら…怖いよ~


「あ、それは大丈夫。女の嫉妬は怖いからね」


「……」


それならこんな企画立てなきゃいいじゃない。


「写真はメンバーメインで。相手役…楓ちゃん達は後ろからとか横顔、それもメンバー越しだからはっきりとは顔は分からないようにする。それに名前は公表しない。ま、年齢だけは。仕事とか学校とか何をしてるかは載せない」


「つまり、私なら『A子、22歳』とかですか?」


「あぁ、そういうこと。だから心配しなくていいよ。誰も楓ちゃんだとは分からない。だいたいその条件だから要も楓ちゃんにって納得してくれたんだから」


「……」


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