Fake Love



二人…無言のまま


「楓ちゃん」


「桐生さん」


「ん?」


「えっ?」


――





「とにかく座ろう」

「はい」


二人無言でコーヒーを飲む。


――





「楓ちゃん」


コーヒーカップをテーブルに置き


「楓ちゃん…さっきも言ったけど勘違いしてるよ」


「えっ?」


桐生さんが頭をガシガシ掻いて


「俺、別に楓ちゃんの恰好を見て笑ってんじゃないし」


「じゃあ」


私もカップを置いて


「ん。楓ちゃん見てると楽しくてさ」


「……」


『楽しい』ってやっぱり面白いんだよね。


私の考えていることが分かったのか


「俺さ、大学4年の時にデビューしてさ、ありがたいことに直ぐに人気出て…周りの人達も急にちやほやして…特に女の子ね。業界の子やファンの子達に囲まれて褒め言葉やおべっかばっかり言われて初めは何にも分からないし、俺達も男だからね、いい気になってたこともあるんだよ」


「……」


そりゃ…そういうこともあるよね。




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