Fake Love
「楓ちゃん、こっちに」
「はい」
窓辺に立ち
「楓ちゃん、カナを見て」
「は、はい」
『見て』って簡単に言われても…
目が合うとやっぱり恥ずかしいんだよ、こんな綺麗な顔を見るのは。
「楓ちゃん!」
美作さん、そんなにやいやい言わないで下さい。
余計に緊張します。
何回か顔を上げるんだけど目が合うと思わず逸らしてしまう。
ど、どうしよう。
「楓ちゃん」
「はい」
桐生さんが
「朝の続き」
「えっ?」
『朝の続き』って?
「まだ探せてないでしょ?俺の顔のホクロ」
「あっ!」
忘れていた。
って、あれ今朝のことだったよね。
何だか遠い昔のような気がする。
「探してごらん」
「……」
「ねっ!」
「は、はい」
それで顔を見つめることが出来るなら。
顔を上げて桐生さんの顔に視線をさ迷わせる。
――
―
う~ん、だけど見つからないんだよね。
本当にあるのかしら?ホクロ。