Fake Love
「あ、君が楓ちゃん?山科先輩の妹の」
声をかけてきたのは…確かドラムのリュウさん…だったよね?
この人も兄貴を知ってるのか。
あ、とにかく挨拶を。
「はじめまして。山科楓です。兄がお世話になって」
「ハハハ…お世話になったのは俺達だよ」
横から笑いながら話しかけてくれたのは…えっと…ギターのシュンさん…だよね。
「そうそ。吉武先輩と共に山科先輩にも本当に世話になったよな」
うっうぅぅぅ~
この人はっと…ピアノのトモさん…だよね。
て、ことはニコニコ笑っているのはベースの…えっと…トールさん…のはず。
あ~私、大丈夫か?
彼等のニックネームが辛うじてだよ。
フルネームなんて聞かれたら…ヤバい。
マジにヤバい。
緒方さんに助けを求めて視線をさ迷わせていると…
ニヤニヤ笑って私を見ている桐生さんと目があってしまった。
……
…
私が困ってるのが分かっているのに絶対に面白がっている。
桐生さんは…やっぱりSだわ。