令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「どこがどう違うの?」

「うん……。僕から聞いたって、言わないでよ?」

「分かってる」

「栞ちゃんもね?」

「は、はい」


私は、これから松本さんの秘密を知ると思ったら、緊張で胸がドキドキしてしまった。


「僕らがバイトしても、大抵は小遣いが欲しくてだけど、あいつは違うんだ」

「と言うと?」

「悠馬の家は、お母さんと妹さんの3人暮らしらしいんだ。お父さんは、あいつが中学の時に亡くなったらしい」

「それはお気の毒だわね……。それで?」

「当然ながらお母さんは働きに出てるけど、はっきり言って経済的にかなり厳しいらしい」

「まあ、そうよね……」

「それでも悠馬はこうして大学に進学出来たわけだけど、これ以上お母さんに無理をさせたくないからと、バイト代を学費に充ててるんだ」

「そうなんだ……。それは確かに偉いわね」

「あの……」


私は咄嗟に浮かんだ疑問を聞いてみようと思った。無知をさらけ出すようで恥ずかしいのだけど、それを知らないと話がよく理解出来ないから。

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