令嬢と不良 ~天然お嬢様の危険な恋~
「貸してごらん?」


と俺が言うと、吉田栞は素直に「はい……」と言って俺に自分の携帯を差し出した。ピンクのちょっと型遅れの携帯には、吉田栞の手の温もりが残っていた。


その携帯は、昔俺が使っていたのと大体同じだが、赤外線はどうやるんだっけかな。色々いじってたら、間違って連絡帳を開いてしまい、“早川俊樹”という名前を見てしまった。

こいつ、俺の計画の邪魔にならないだろうか。吉田栞は、ムキになってただの幼なじみだと言ってはいたが……


ちょっと手間取ったが、なんとか赤外線でバッチリと互いのオーナー情報を交換し、俺はホッと胸を撫で下ろした。


「はい、出来たよ」

「あ、ありがとうございます」


なぜか知らないが、吉田栞は頬を赤く染め、キラキラした目で俺を見つめていた。思わずまたキスしたくなったが、もちろんそれはグッと堪えた。

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